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有田焼を「つくる」編 第七章:焼き物の町「有田」  |有田やきものアカデミー 【肥前陶磁器商工協同組合】

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これまで学んできた通り、有田と窯業とは切ってもきれない関係にあります。
そんなやきものの街・有田には、他の土地では見かける事のない、不可思議な光景が至る所に存在します。そんな有田ならではの風景をいくつか紹介していきたいと思います。

 

川の中に陶片が

有田町内の川を覗き込むと、他の土地にはないものを目にします。それは古い陶片やハマ(本焼成時にやきもののゆがみを防ぐために下に敷く磁器製の窯道具)の姿です。
有田町内の人には昔から見なれた、ごく当たり前の風景ですが、町外の方には珍しく、そしてさすがやきものの街だなぁと思わせる情緒溢れる光景でもあります。

磁器の生産に欠かせないのが陶石だというのは、先に学んだ通りですが、陶石を砕いて粉にするために、電気のなかった時代には水車を使用していました。そのため、古い窯跡は、町内の川に近い所で発展していったのです。
その結果、永い時代を経て、古い陶片が川底に少しずつ溜まっていったのだということでした。

 

有田のシンボル、煙突

観光ポスターやテレビなどで、必ずといっていい程、有田らしい風景として登場するのが<レンガの煙突>。有田の風景を語る上で外せない要素のひとつです。
やきものの窯のためにあることは、だれでも簡単に推測できると思いますが、その形状や長さにはワケがあるってご存じですか?
煙突の長さや直径が大きくなればなるほど、その下にあるやきものの窯は大きくなっていきます。大きさはつくる商品や納期のサイクルなどが関係してくるので、窯が大きい=大きな窯元というわけではありません。
煙突には写真のように、窯元名がかいてあります。昔は遠くからも目立つということから、看板の代わりもしていたのです。
現在は燃料がガスに代わったため、現役の煙突は少なくなりましたが、有田の窯元にとっては、ただの煙突や看板の代わりというだけでなく、守るべき誇りのような特別な存在になっているのかもしれません。

 

有田の町並み。玄関先にはショーウィンドウが

李参平が磁器の生産を始めて以降、有田の町は当時の佐賀鍋島藩により管理されることになりました。それを基盤に、有田の町は形づくられていきます。
19世紀初期には<有田千軒>と呼ばれるほどのにぎわいをみせていた町は、文政11年(1828)の台風と同年に起こった大火災によって壊滅的な被害を被ってしまいます。
度重なる震災の後に再興された町並は、有田焼商人による江戸期の町家造りの建物をベースに、幕末・明治・大正時代の西洋建築、昭和初期の町家様式といったように、様々な変化と様式を取り入れていき、現在の有田独自の町並を形成するに至ったのです。
さらに町並を変化させたのが<有田陶器市>でした。
明治29年に始まったのを期に、有田には観光客が多く訪れるようになりました。そこで、自社の商品をアピールする目的でつくられたのが<ショーウィンドウ>だったのです。
昭和初期になると、ガラスが普及しはじめ、有田の人々はこぞってショーウィンドウを玄関先に設けるようになりました。
現在では、国の<重要伝統的建造物群保存地区>に選定され、官民一体となって町並を守る努力が続けられています。

 

低速運転のトラックも有田焼づくりに欠かせないメンバー

車で有田町内をドライブしていると必ずといっていいほど出くわすのが、<トロトロ低速運転する軽トラック>です。
クラクションを鳴らしてみたり、「速く走れよ!」と内心イライラする人も多いこの軽トラック。実は有田のやきもの業界が分業化されているということと密接につながっているのです。
この低速軽トラック。何を運んでいるかと言えば、生地屋といわれる所から、有田の各窯元の工場まで型でつくられた生地を運んでいるのです。
生地屋とは、最初の工程である<成形>の部分を専門としている業者のことで、出来上がった生地を軽トラックの荷台部分にいくつも乗せて、窯元まで運んでいるのです。だから、低速で走るしかないのです。
運転手の方も、他のドライバーさんに「申し訳ない」と思いつつ、商品優先で運転しているはずです。有田でそんな軽トラックに遭遇したら、大きな心、温かい眼差しで見守ってやってください。

 

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