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有田焼を「つくる」編 第ニ章:白磁の美しさの秘密 |有田やきものアカデミー 【肥前陶磁器商工協同組合】

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磁器の原料となる天草陶石です

有田焼の素地はガラス質を多く含んだ<陶石>が原料で、砕いたその粉を練り合わせて焼いたものが磁器になります。今日では熊本県天草地方の山から採掘された石が主に使われています。
この<天草陶石>は砕きやすく形成可能な上、他の添加物がなくても(単身)均一に磁器焼成ができるという利点があります。薄くて軽いけれども硬くて丈夫、仕上がりの色が濁りなく白く美しいのも特徴です。このガラスのように透き通る白磁の美しさと磁肌のなめらかさが、有田焼の繊細で華やかな絵付を映えさせるのです。
次に作り方の特徴として挙げられるのが、陶器よりも焼成温度がはるかに高いこと。磁器を焼く場合は約1250~1300℃で、この高温焼成が原料に含まれるガラス状の成分をよりよく溶融し、もとの鉱物に近い硬さにします。器のふちを指で弾くと、金属音のような高い音がするのはそのためです。

 

時代のニーズを取り入れつつ、伝統美と品格を使い手に伝える有田焼。次に『有田の四様式』について、年代順にご説明しましょう。

染付吹墨鷺文皿
九州陶磁文化館所蔵(柴田夫婦コレクション)

初期の古伊万里のことで、有田焼が始まった1610年代~1650年頃までの作品を指す。和の落ち着いた色調と自由で勢いのある筆づかい、温かみのある生地肌などが特徴として挙げられる。

色絵唐獅子牡丹文十角皿
九州陶磁文化館所蔵(佐賀県重要文化財)

落ち着いた赤を基調とする優美な色彩が特徴で、この色彩美をより一層引き立てるのが、濁手(にごしで)とよばれる温かみのある乳白色の生地。余白を生かした非対称の日本画風の構図は日本独自のスタイルといえるだろう。下絵付けはなく、ふちに錆、上絵の赤、黄、緑、青、一部に金、まれに紫が使われている。

 

色絵三瓢文皿
九州陶磁文化館所蔵

幅広の高台からしなやかにのびる流麗なライン。一線一画さえもおろそかにしない精緻を極めた絵付け。計算しつくされた緻密な紋様。佐賀鍋島藩の技術の粋を結集した様式美の極みである。染付のみで構成されているものを「藍鍋島」染付、上絵の赤、黄、緑の三色を基調としたものを「色鍋島」という。

色絵鷹菊唐草文大皿
九州陶磁文化館所蔵(柴田夫婦コレクション)

海外向けと国内向けの二つの顔をもつ。海外向けは17?18世紀ヨーロッパで愛好されたバロック・ロココの美と色絵磁器が融合し、洋風化、様式化された紋様と色使いが特徴。国内向けは絢爛豪華な元禄時代を反映し、金彩と赤絵など多彩な顔料を用い、空間をすべて紋様で埋め尽くす濃厚なものが多い。金襴手とも呼ばれる。

まず粗砕します

次に粉砕します

水簸(すいひ)とは、水に沈めて粗さの違う土を分ける工程

最後に土搾りでようやく陶土が完成


天草地方で採掘された陶石を磁器用の<陶土>にするのが、専門の業者である〈陶土屋〉さんです。
全盛期は肥前地区だけで50を越える陶土屋さんがありましたが、現在はその半分以下になってしまったそうです。


洗浄→粗砕→粉砕→水簸(すいひ)→脱鉄→土搾りという工程を経て、ようやく陶土が出来上がります。


陶石を小さく砕く粉砕作業は、昭和50年代あたりまで水車が利用されていたそうです。現在はすべて電力式になっていますが、気温や水温によって加工中に差が出るため、やはり人の目と長年の勘なしには成り立たない作業です。


陶土づくりに求められることは、まず、安定した陶土をつくること。1300℃で焼成した時に変形しない強度と、目に見えない鉄分や不純物を完全に取り除き、焼物の表面に黒い斑点等を発生させないこと。白磁の命ともいえる磁肌の白さときめの細やかさは、こうした陶土づくりに関わる職人たちの細心の手仕事に支えられています。

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